EcoPro Awards

エコプロアワード 財務大臣賞 受賞

このたび一般社団法人産業環境管理協会が主催する「第2回エコプロアワード」にエントリーし、当社の「伝統と革新がもたらすサステナブルな酒造り」が財務大臣賞を受賞しました。

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神戸酒心館が目指すサステナブルな酒造り

当社のサステナブルな日本酒造りへの取り組み

当社は、この10年にわたり環境負荷低減に取り組んでまいりました結果、2010年からの7年間で生産量は3倍に増加しましたが、年平均10%の省エネルギー化を達成するなど成果を上げることができました。
 

また、これまで醸造工程における温度管理や水分管理といった職人の経験と勘により生産効率が大きく変化していた工程を、最先端の「タライ麹」技法と最新のIoT(スマホ経由の温度管理システム)や制御技術によりその負荷を大きく低減することが可能となり、夜間作業など「きつい現場」から効率的で働きやすい労働環境へと改善できました。

日本酒という伝統産業においては熟練者の経験と技術による人の力は重要で今後もこれを重視してまいりますが、一方でIoTやエネルギー効率を高めた生産プロセスが高度に確立していることが高く評価されました。
 

今後も自然と人を見つめるものづくりで、地産地消をベースとした地域振興を目指してまいります。
 

今後とも引き続きご支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 

株式会社神戸酒心館 代表取締役社長

安福武之助

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はじめに

当社は宝暦元年(1751年)より現在の地、灘・御影郷に於いて清酒の醸造を始めました。平成7年1月の阪神淡路大震災では木造蔵すべてが倒壊しましたが、各方面からのご支援により復興し、平成8年5月8日「株式会社神戸酒心館」を設立、醸造棟の他、お酒と共に文化を楽しんでいただける各種施設を平成9年12月にオープンしました。

 

当社の「福寿」という酒銘は、七福神の一柱「福禄寿」に由来しており、この酒を飲んでいただく方々に、健康と財運、子孫繁栄がもたらされますようにとの願いが込められています。

醸造棟である「福寿蔵」は、伝統的な手づくりの原理を再現した新しい設備での酒造りと、人の手で行う酒造りの技を併せもつ蔵であり、蔵建築延床面積3,517平方メートル、5階建ての蔵は、阪神淡路大震災の教訓を生かし、マグニチュード8級の地震に耐えうる数少ない免震構造の醸造棟となっています。

本来、酒蔵の継承と発展について、海外のワイナリーなどではエコプロダクツ(環境負荷の低減に配慮した製品やサービス)が推進されていますが、実際日本ではエコプロダクツの推進については、内容を今後さらに議論していかなければならないという状況にあります。これらの問題への対策として、環境価値(環境負荷の低減)と経済価値(売上増加やコストダウン)を両立し、酒蔵の継承と発展につなげる論理が必要であると考えました。

 

具体的には、地球温暖化防止と生産性向上、水資源の保全と節水、酒粕の再利用、ビン(ボトル)の再資源化、生物多様性への配慮、有害物質・環境影響物質への対応というものであり、これらを行うことにより、省エネルギー・資源有効利用の活動を展開し、環境負荷低減とコストダウンを同時に進めることが期待できます。

 

当社の酒造りには、270年にわたる長い歴史があり、伝統と技が受け継がれています。そこでは、酒造りに携わる人々の存在が大きな役割を果たしてきました。当社の酒造りは「伝統的」でありながら、最上を追求し、変化し続けています。「上田流麹造り(以下タライ麹という)」をはじめ、社員によるイノベーションが品質の向上を実現し、高いレベルの経済生産性を達成しました。

 

地場産業を発展させることによって地域を活性化することには、清酒製造業の観点においては、清酒の需要喚起、産業観光の持続性の確保、農業のブランド化、農業の持続的発展などの効果が期待できます。清酒の需要喚起は、清酒の売上が増加し、産業観光の持続性の確保は観光客が増加し(酒蔵ツーリズム)、農業のブランド化は付加価値がつき(日本一の酒米「山田錦」)、農業の持続的発展は収入が安定します。それらの結果、ある程度の地域経済の発展の効果が生じれば、給与の上昇などの波及効果が期待できます。

 

2006年より杜氏制度を廃止し、上田酒類総合研究所の上田先生の指導のもと、社員による酒造りを行っております。生産量を追わず、おいしさを極めるために、手づくりによる丁寧な酒造りを行ってきました。麹は今でも全量手づくりで、蒸米は甑を用い、仕込みごとの個性を大事に、米のうまみを引き出した「濃醇できれいなお酒」を目指しています。当社が追求しているスタイルは、「芳醇な味わい」「凛としたエレガントさ」「バランスの良さ」です。近年は管理プロセスのデータ化を重点課題として、さらなる高品質な酒造りに取り組んでいます。さらに灘伝統の技、六甲おろしの寒風など、諸々の条件が一体となって、当社の酒は生み出されています。

 

酒蔵の継承と発展は、日本の歴史、伝統、文化等の理解のために欠くことができないものであると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものと考えられます。しかし、清酒の需要が長期低落傾向にある日本では、酒蔵の継承と発展には限界が生じてきており、清酒の出荷数量の減少、製造者数の減少という問題が起こっています。

 

清酒の国内出荷量は、ピーク時の1973年には170万キロリットル超ありましたが、2018年は49万5,000キロリットルと、ピーク時の約3割に減少しています。

 

当社は、ずいぶん前から「自然と人を見つめるものづくりで、地産地消をベースとした地域振興を目指す」をスローガンに清酒製造業、観光事業、飲食事業の一体化による価値創造を目指してきました。酒造りにおいて使用するお米はすべて兵庫県産米。神戸市北区大沢との村米制度をはじめ、神戸市近郊でとれた野菜、瀬戸内海でとれた魚を蔵の料亭「さかばやし」で提供するなど地産地消を推進しています。

 

これはクオリティーの追求という限定された目的のためだけではなく、持続的生産にも目を向けようというものです。六甲山の恵みである「宮水」など自然に敬意を払い、地球環境を守ることこそが、長期的な視野で見た場合には、積極的な戦略になると考えています。これらを実施していくことが、酒蔵の継承と発展を達成していくために必要とされるでしょう。神戸酒心館というプラットフォームを活用して、地方の文化振興や産品販促につながる持続的な観光業を開発し、年間15万人の観光客が訪れるようになりました。

 

当社では、酒蔵の継承と発展の問題に関して、環境価値と事業価値を両立し、酒蔵の継承と発展につなげることを実践することにより、問題の解決を試みています。

 
 

環境面について

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地球温暖化防止と生産性向上

当社では、省エネ・省資源による環境負荷の低減と「福寿」の品質向上の両立を実践しています。これにより「福寿」ブランドの付加価値が向上するとともに、生産の効率化によるサステナブルな酒造りが可能となり、大きな企業成長に繋がりました。

 

酒造りで一番重要なのは温度コントロールです。つまりは各製造工程において加温と冷却を精度よく行うことが品質の向上と安定には必須です。洗米時の水の冷却、蒸米工程の蒸気温度、蒸米後の酒米の冷却、仕込み(モロミ)工程における温度制御、そして加熱殺菌工程の「火入れ」など、品温管理は酒質を大きく左右します。またこれらの工程で使用するエネルギーは全使用エネルギーの大部分を占めます。

 

2010年からの7年間で、品質向上、ブランド力の強化で受注量が増加し、生産工程の大幅な改変をせずに生産量を約3倍に高めることができました。次に示す施策により、生産能力UPを行いながら、環境負荷の低減を推進しました。

 

  1. エネルギー使用量:温湿度コントロールのための冷凍機、ボイラーを適宜高効率な機器(モジュールチラー(ダイキン)、エコノマイザー付きボイラー(三浦工業)などを導入することで、エネルギー効率を高めました。2010年からの7年間では、生産量が3倍に増えたのに対し、逆に12%エネルギー総量を削減することができました。
            

  2. エネルギー原単位:省エネ法に準じ、「エネルギー原単位対前年-1%削減」の目標を掲げ、生産量やエネルギー管理、また設備の更新計画を立てて、適宜実施しました。その結果2010年からの7年間では、70%削減(年平均10%削減)という驚異的な省エネルギーを達成することが出来ました。これは、熱源設備の省エネ性向上や部分負荷特性の改善による効果に加え、設備稼働率を高めたことも大きく寄与しています。
     

  3. その他の省エネ:製造工程以外でも照明のLED化やスマートメーターによる電力量の日常管理やデマンド管理などを通じ、社員の省エネ意識を高めることで成果に結びつけています。
     

  4. 以上の結果、CO2排出総量も2010年からの7年間で-12%削減と、生産量増加に反し大幅な削減を達成しました。

従来、ベテラン杜氏による熟練の経験や技術によって成り立っていた各工程の温度管理や微生物による発酵過程を独特な手法を駆使して管理しています。特に従来の考え方と異なる水分管理を重視した「タライ麹」技法と最新のIoTによる制御技術により、その負荷を大きく低減することが可能となりました。仕込み経過の状況は、スマホ経由のモニタリングシステムによる遠隔監視も行っています。その結果、高品質な製品を安定的に製造できるようになり、通年生産による設備稼働率の向上を実現。結果的に省エネ性の向上や売上増に結び付きました。また、監視の為の残業や夜間作業を無くすことができ、「きつい職場」環境から脱却し、働き甲斐を高めることで従業員の働き方改革に繋がりました。

 

更に、省エネに関するデータ分析、省エネノウハウの提供は、環境経営の知見が豊富なコニカミノルタ株式会社と連携。共同で省エネ診断を実施することで環境先進の製造業の視点での情報共有を継続しています。

水資源の保全と節水、酒粕の再利用

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  1. 酒造りにおいて重要な宮水については、地域コミュニティの協力のもと土木工事の影響を最小限にとどめるよう、灘五郷酒造組合「水資源委員会」、「宮水保存調査会」などと連携して水資源管理を徹底しています。
     

  2. 節水技術の採用:洗米工程では気泡のクッション作用により米をいためないジェット式気泡技術を採用した節水型洗米機を導入しました。また洗瓶工程では使用済み水の一部を再循環させる方式を採用するなど節水を進めました。結果2010年からの7年間で、生産量が3倍に増えたのに対し、水使用量の増加は35%に抑えることができました。
                                                                                                                                   

  3. 製造段階で残った酒粕は手軽な小袋サイズの板粕にして販売しています。また、クッキーやアイスクリームの原料に加えた食品として商品化するほかにも、酒粕を使った料理を自社の料理屋で提供するなど資源の有効利用に努めています。

びん(ボトル)の再資源化

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ボトルデザインは、ブランド価値を高め、商品の購買を左右する重要な因子となります。ボトルの素材は製品の保存性を高めて品質を担保するだけではなく、使用後の廃棄物処理が環境に与える影響にも考慮する必要があります。当社はデザイン性とUVカット性を兼ね備えたブルーコバルトびんを従来から使用していました。「透明びん」「茶色びん」は、それぞれの色のびんに再生できるためガラス原料となります。しかしながら、ブルーコバルトなどの色びんは埋め立て処理するしかない「燃やせないゴミ」となります。そこで、透明びんに静電塗装を施すことで、見た目は従来のブルーコバルトびんと変わらず、UVカット性も付与し、保存性も良好な透明びんを採択しました。現在当社商品のうち、年間約45万本が静電塗装びんです。リサイクルが可能になったことによる環境貢献だけでなく、容器リサイクル再商品化委託金の低減によるコスト削減にも繋がりました。

生物多様性への配慮

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当社の酒造りは、地元の兵庫県産「山田錦」、宮水や六甲おろしなど、地元の自然環境の恵みの上に成り立っています。そのため、これらの環境を保全することは非常に重要で、六甲山の環境保全活動や豊岡市のコウノトリ基金への寄付などを積極的に行っています。

有害物質、環境影響物質への対応

印刷用インクを有機溶剤からエタノール製剤に変更し、ホース類を環境ホルモン対応ホースに変更するなど、常に安全性への配慮を行っています。

自主行動として環境への取組
(例: 自主管理環境行動、環境負荷情報の開示など)

コニカミノルタ株式会社の専門家による省エネ診断を実施、現場からのヒアリング結果とデータ分析により、自社の強み弱みを把握し、自主行動計画に落とし込んでいます。設備導入の際には環境項目のアセスメントを重視し、最適な高効率設備の導入を行い、エネルギー削減によるCO2削減を継続しています。

 

経済面について

神戸酒心館は、清酒「福寿」を造る「福寿蔵」、蔵の料亭“さかばやし”「水明蔵」、販売店舗である「東明蔵」、多目的ホールである「豊明蔵」からなる複合施設で、「清酒製造業」「観光事業」「飲食事業」の一体化による価値創造ならびに地産地消のサプライチェーンの構築を目指しています。

売上の増加

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2006年から通年雇用の「社員による酒造り」に移行し、清酒づくりの基本である「一麹(いちこうじ)、二酛(にもと)、三造り(さんつくり)」という伝統を大切にしながら、最上を追求し、変化し続けています。

 

2007年より伝統の木製ではなくプラスチック製の「タライ」を使用した「麹づくり」を試験的に開始、また緻密で微妙な水分管理、温度管理を徹底するために従来の布からゴア・ラミネート(ナイロン布とゴアテックスメンブレンとの積層品)に変更しました。さらに、より短期間で安全な酵母を育成するために「高温糖化酒母」を採用しています。2010年から本格的な「タライ麹」の技術による酒造りが始まりました。これによって水分を通さず強い麹をつくることが可能になり、「大吟醸」や「純米吟醸」などの高付加価値商品の品質が向上しました。社員によるイノベーションにより品質の向上を実現し、「全国新酒鑑評会」「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」など数々の国際的な酒類コンクールで金賞を継続して受賞することができました。その結果、2010年から5年間で売上が263%増加し、高いレベルの経済生産性を達成しました。

 

※上田流麹造り(タライ麹づくり):

製麹にタライ(プラスチックケース)を持ち込んだユニークな方法で、当社では麹箱1つにちょうど3つ入る程度のタライを使用しています。最初に極限まで米の水分を飛ばしているので、保温、保湿、断熱の3つの効果を兼ねているタライは最適で、盛り作業から仕舞仕事までタライを使用することで、米粒の限られた水分と品温を保持し、麹菌を育成するのがねらいです。タライ麹法をするにあたり、ロードセル(精密計量器)で水分管理し、麹室の室温は40℃、湿度は30%の乾燥状態を保持することが必要となります。これにより、乾いた米粒の表面に菌糸が生育し、米粒の中心へ菌糸が入り込む破精(ハゼ)込みという突き破精麹(ツキハゼコウジ)が安定的に生産できます。また表面がべとつかず、粘らないといった大吟醸造りに理想的な麹となるので、芳香でふくよかで上品な酒質に仕上がります。タライを使って水分を上手くコントロールすることで、ベテラン杜氏と同じくらいの高いグルコアミラーゼ力価が得ることができ、酵素バランスの良い「超突き破精麹」をつくることが可能となりました。

他への経済的波及効果

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「自然と人を見つめるものづくりで、地産地消をベースとした地域振興を目指す」をスローガンに「清酒製造業」「観光事業」「飲食事業」の一体化による価値創造を目指しています。酒造りにおいて使用するお米はすべて兵庫県産米。神戸市北区大沢の農家と連携して、高品質な「山田錦」を調達するシステムを構築し(村米制度)、大吟醸などの高付加価値商品で使用しています。神戸市の近郊でとれた野菜、瀬戸内海でとれた魚を蔵の料亭「さかばやし」で提供するなど地産地消を推進しています。これにより農業所得は向上し、食材の輸送に係る環境負荷の低減にも貢献。販売店舗「東明蔵」では、清酒「福寿」とともに、「兵庫県認証食品」など兵庫県産品をはじめ、全国の中小業者がつくる酒の肴や酒器などを販売し相乗効果をあげています。                 

 

神戸酒心館というプラットフォームを活用し、地方の文化振興や産品販促につながる持続的な観光業を開発したことで年間15万人の観光客が訪れるようになりました。

コストの削減

近年は管理プロセスのデータ化を重点課題として、さらなる高品質な酒造りに取り組んでいます。そのため、人材の育成に重点を置き、ベテラン杜氏から若手社員に技術を継承し、技能向上を図ってきました。

 

これにより、泊り・宿直制度や夜間早朝勤務などを廃止し、年末年始の勤務も2名から1名に低減しました。そして再来年までに週40時間の勤務と完全週休2日制に移行することを目標にするなど、醸造期間中の働き方の改善にも寄与しています。

 

「タライ麹づくり」「高温糖化酒母」ほか社員による「品質とイノベーションの両立」が図られた結果、生産量が大きく増加したにも関わらず、ダイキン・モジュールチラー(冷凍機)の導入により前年対比消費電力85%の成果が発揮できました。洗米機もジェット式気泡タイプに変更し、従来の約1/2の節水で洗米が可能となりました。「エネルギー効率の改善」ならびに「水の利用効率の改善」に取り組んだ結果、コストの削減につながりました。

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社会面について

地域循環経済への寄与

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醸造棟では、神戸市北区大沢地区産の「山田錦」をはじめとする兵庫県で育まれた最良の原料米を六甲山の伏流水である「宮水」で仕込み、地域の環境保全にも貢献しています。さらに「福寿 純米酒 御影郷」の売上の一部を六甲山の環境保全活動に寄付。また生物多様性を守ることの大切さを知ってもらうために、兵庫県但馬産「コウノトリ育むお米」を使用した商品の売り上げの一部を「豊岡市コウノトリ基金」に寄付し、コウノトリの野生復帰を支援しています。

 

また蔵の料亭「さかばやし」では、神戸市近郊でとれた旬菜を積極的に使用し、清酒とともに楽しんでいただくなど、地域経済の活力づくりを推進しています。

 

東明蔵(販売店舗)では、清酒のみならず、兵庫県認証食品なども販売し、地域資源や伝統文化を消費者にPRしています。また清酒の価値やエコへの意識を高めるために「生酒の量り売り」(通い瓶システム)を実施しています。

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地域活性化

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地域住民との交流を図るため「蔵開き」など様々なイベントを実施しています。イベントではお酒を楽しむだけでなく、「血管年齢測定」、「骨密度測定」「血流測定」などの健康測定も行い、地域住民の健康づくりも支えています。健康測定は年2回実施。また「福寿 特別純米 コウノトリ育むお米 コシヒカリ」の売上の一部をピンクリボン活動に寄付し、女性に対する啓発活動も続けています。豊明蔵(酒心館ホール)では、舞楽、文楽、能楽、邦楽、狂言、落語会などを開催することで地域住民との交流を推進しています。日本の伝統文化の振興に貢献したことが評価され「メセナ大賞」(2000年)を受賞しました。

 

当社の貯水槽の容量は72,000リットルで、地震などの災害時においても継続的に飲料水を供給することが可能です。1日あたりの摂取量を一人約1.5リットルとすると1日100人分で480日に相当します。頻発する自然災害や近い将来起こるかもしれない大規模災害への備えを図っています。

 

  • 公益社団法人 兵庫県緑化推進協会
    「福寿 純米酒 御影郷」売上の一部を寄付(1本売上につき2円を寄付)
     

  • 兵庫県豊岡市 コウノトリ基金
    「福寿 特別純米 コウノトリ育むお米 コシヒカリ」「福寿 純米原酒 コウノトリ ひやおろし」売上の一部を寄付
     

  • 神戸市立王子動物園 動物サポーター(ホンドフクロウ)
    「福寿 純米酒 ふくろうボトル」売上の一部を寄付
     

  • 京都大学iPS細胞研究所
    「福寿 純米吟醸」売上の一部を寄付

環境学習

神戸酒心館内にある山田錦の田圃では、近隣の小学生が毎年山田錦の田植えや稲刈りを行っています。この体験学習を通じて、地域環境と共生する地場産業のあり方や、お米(自然の恵み)の大切さを学ぶ機会を地域社会に提供しています。

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地域住民との取り組み

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酒造りに重要な役割を持つ「宮水(水資源)」の保全のため、灘五郷酒造組合「水資源委員会」、宮水保存調査会に参加し、水資源管理を実施しています。土木工事等の地下水への影響を最小限にとどめるために地域コニュニティーの協力のもと調査研究を行っています。

従業員に対する取り組み

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醸造棟である「福寿蔵」(5階建て)は、マグニチュード8級の地震に耐えうる数少ない免震構造の蔵。阪神淡路大震災の教訓を生かし、いつ起こるかもしれない大災害に備えて、定期的な避難訓練を行っています。南海トラフ巨大地震に伴う津波から市民等の生命や安全を守るための津波避難対策にも取り組んでいます。

最後に

清酒は日本の「國酒」であり、日本の気候風土、日本人の忍耐強さ・丁寧さ・繊細さを象徴した、いわば「日本らしさの結晶」です。しかしながら、清酒の生産量を見ると、課税数量ベースでは2018年時点で約50万キロリットルとピーク時の約3割に減少しています。また、製造場数は2019年度1,594場となるなど激減の一途をたどっています。

この問題に対して、ワインを中心とした世界のアルコール関連業界の動向や抱える課題を整理したうえで、クオリティーの追求という限定された目的のためだけではなく、持続的生産にも目を向けることこそが今後の社会のキーワードであると認識するに至りました。自然に敬意を払うこと、地球環境を守ることこそが、長期的な視野で見た場合には、積極的な戦略になります。これらを実施していくことが、酒蔵の継承と発展を解決していくのに必要とされると考えています。

株式会社神戸酒心館 代表取締役社長
安福武之助